国内の野菜・果物の生育状況や出荷量、中国の野菜の状況、アメリカをはじめとした諸外国の野菜の状況を毎月お届けいたします。
2021年02月
年末からの新型コロナ感染症拡大に歯止めがかからず、1月早々に再度緊急事態宣言が発令されました。外出自粛や飲食店の休業要請により、消費者の生活様式が一変している中、外食を控え、代わりに中食(弁当、総菜、冷凍食品など)、内食(素材を購入して家で調理したもの)の使用の動きが広がっており、各サプライヤーにとっては、急激な市場の環境変化への対応が求められる事となりそうです。
コロナ禍による飲食店での需要の落ち込みにより、白菜・レタスなどの葉物野菜の価格下落が続いております。1月は全国的に寒波や干ばつで露地野菜の生育が緩慢となっており、年末頃まで潤沢であった大型野菜は年明けに急減したため、市場価格は平年並みに戻ってきております。
< 北 海 道 >
- かぼちゃ
- 2年連続で豊作となり、収穫・生産が終了致しました。今年はコロナウィルスの影響による需要減により、在庫が過剰傾向となっている工場もあるようです。
< 関 東 >
- ほうれん草
- 11月下旬からの低温、降雨不足により生育にやや影響が出ております。2月下旬から生産開始予定です。
<九州>
- ほうれん草
- 11月から低温に見舞われ、1月現在においても生育の遅れが生じております。予想では2月までは寒さが続き、3月以降の収穫までは供給が厳しい状況となりそうです。
コロナウィルスの影響について
①大連:昨年12月に中国大連で感染者が見つかり、大規模なPCR検査や移動規制が行われました。その為に、一時、大連港が閉鎖され、山東省の青島港や煙台港から九州地区や関西地区向けで大連港経由の貨物に遅れがありました。中国の春節休み前で積み荷が多い時期なので、生じた遅れは完全に回復はしておりませんが、大幅な遅れにはなっておりません。
②河北省:日本でも報道されたように北京市に近い石家荘市で100人近い感染者が出た事により、現在、1100万人がロックダウンの対象となっています。
③その他地域:他にも同様の状態の都市が複数ありますが、現時点では日本のような感染者の大幅な増加はございません。
④春節に以降に関して:2月12日の春節前後には、通年であれば大混雑の中、多くの人が移動することになりますが、中国政府は手段感染を予防するために、帰省の禁止や移動時のPCR検査と隔離の厳格化などの対策を取る可能があります。政府の移動制限を避ける為に帰省を早めたり、春節後、従業員の移動が制限され、帰省した従業員が戻れず生産に影響を与えたり、2月・3月の収穫期間の作物への影響も懸念されます。
山東省の1月の気温は例年より低く、降水量が少なかった為、干ばつ傾向にあります。浙江省では1月に最低気温マイナス7℃を観測する等、寒波の襲来で数十年振りの寒さとなりました。
< 山 東 省 >
- ごぼう
- 現在は貯蔵原料を使用して加工しています。原料価格は先月より更に上昇しております。
- 人参
- ごぼう同様、貯蔵原料を使用して生産しております。価格は先月と変わりませんが、前年より30%前後高騰しております。
- さといも
- 2020年産の生産は。農薬基準の改正に伴い、原料の確保が難しく、例年より2週間早く終了しました。
- ほうれん草
- 10月から11月にかけて播種し、3月中下旬から収穫・生産開始予定です。生育は順調です。
< 浙江省・江蘇省 >
- レンコン
- 収穫・加工は一時終了しており、受注に応じて春までの追加生産は可能ですが、原料価価格は多雨・洪水の影響を受け高騰しております。
- 水慈姑
- 収穫、加工は終了しました。原料価格、共給数量は安定しております。
- ブロッコリー
- 年末から年始にかけて数十年振りの寒波による凍死、凍傷のによる変色が多く出ております。
- カリフラワー
- 約50%の減産を見込んでおります。原料の高値と供給不足で、もともとのピークとなる生産は一時中止となりました。1月末から2月初旬に再開を見込んでおりますが、その時期は春節直前により工場の工員が帰省する為、大量生産は望めません。よって加工期間が短くなった事により、製品価格の大幅な高騰・原料不足が予想されます。
- 菜 の 花
- ブロッコリー・カリフラワー程の寒波の被害は受けていないものの、他の野菜の出荷数量の減少、価格高騰の煽りを受け、需要増による原料不足が懸念されます。
- きぬさや・スナップエンドウ
- 他の作物同様に寒波の被害を受けておりますが、全体の数量は現時点では未確定です。
<エクアドル>
- ブロッコリー
- 周年栽培で特に問題無く、収穫・生産しております。
< ペ ル ― >
- アスパラガス
- 昨年11月・12月の収穫期に反政府デモの発生と、コロナウイルスの影響で工場の人数制限を行っていた事が重なり、計画していた数量の加工が追い付かずに終了しました。次回は2月下旬頃より収穫・生産を開始する予定ですが、日本に入荷する4月・5月頃までは数量の不足が否めません。